虫歯を削る基準について
JR南武線平間駅徒歩1分。ワコ歯科・矯正歯科クリニック院長の長崎です。
虫歯を削る基準についてです。
ワコ歯科では、虫歯を削る基準はICDASをおおよその目安としています。
ICDASとは
I:International 国際
C:Caries 虫歯
D:Detection and Assessment 探知 評価
S:System システム
の略です。
詰め物、かぶせものの境目が再度虫歯になった場合でも(二次カリエス)、概ねICDASの基準に当てはめています。
ただ、ICDASの基準がすべてではなく、お口の中の状態、これまでの治療歴、唾液検査、プラーク染め出しの結果、患者さん本人の希望、価値観、生活環境等諸々を考え、削るメリットがデメリット(健康な歯の部分まで削ること、神経をとる場合があること、状況によっては抜く場合があること)を上回る場合のみ、患者さんにその旨を説明して削るか、削らず進行抑制のみでよしとするかを選択して頂いています。
写真は70歳代の男性です。明確な虫歯、二次カリエスがいくつかあるのですが、現在痛みもなく、患者さん本人もあまり削りたくないと希望し、虫歯自体も停止性齲蝕(表面が黒く、固く、進行がほとんど止まっていると思われる虫歯のこと)なので、定期検診と歯間ブラシ、フロス、フッ化物洗口による進行抑制のみ行っています。
もし、これが20歳の若者であったり(一般的に、虫歯の進行は若いほど早く、お年寄りほど遅い)、虫歯が進行性(白く、柔らかく、進行中と思われる虫歯のこと)であれば、削っていると思います。
かつては、虫歯は一度なってしまったら自然には治らないものとして、問答無用で削って詰めていました。
現在では、虫歯は再石灰化が起こりうるものとして、初期であれば削らずに生活習慣の指導のみに留めたり、ある程度進行していても患者さんの状況次第では削らずに進行抑制をあれこれ行うことも選択肢に入るようになりました。