初診時の検査項目と、問題点があった場合の対応について
JR南武線平間駅徒歩1分。ワコ歯科・矯正歯科クリニック院長の長崎です。
初診時の検査項目と、問題点があった場合の対応についてです。
ワコ歯科・矯正歯科クリニックでは、初診時に以下の項目について検査を行っています。
・歯式(歯が何本あり、詰め物、かぶせもの、虫歯がどこにあるか)
・歯周基本検査(歯と歯肉の境目の歯周ポケットの深さ)
・口腔内写真12枚
・パントモ(大まかなレントゲン)
・デンタル10枚法+咬翼法(詳細なレントゲン)
・唾液検査(唾液の量、質、虫歯菌の多さ)
・染め出し
写真は、実際に当院に来院された患者さんの初診時の写真です。
青い丸は虫歯、赤い丸はレントゲンで発見された根尖病巣(根の先のバイキンが、骨を溶かしている様子)です。
当院では、虫歯があった場合でも、原則としてすぐに削ることはしません。
その虫歯がどの位の進行状況なのか、今現在のお口の中の虫歯リスクを種々の検査や聞き取りを行い、カリオグラムという「虫歯のリスクをおおよそ判定するソフト」に入力します。
その上で、生活習慣やセルフケアの改善によって進行を抑制できる程度の虫歯であると判断したら、その旨を説明して経過観察+進行抑制のみに留めるようにしています。
長期的な進行抑制や経過観察を行った上で進行した場合、やむを得ず削ることはありますが。
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赤丸の根尖病巣がある場合でも、根尖病巣の大きさや自覚症状、フィステル(根尖病巣の膿が、出口を求めて歯肉に穴を開けてオデキのようになっている状態)の有無によっては、再治療を行わず経過観察のみに留めることもあります。
根の治療をした場合、資料によって異なりますがかなりの確率で根尖病巣ができる、と言われています。
その根尖病巣が昨日できたのか、半年前なのか、一年前なのか。徐々に大きくなってきているのか、それとも一度大きくなったものが小さくなりつつあるのか。今の大きさのままで何年も安定しているのか。
痛み等の自覚症状やフィステル等の「明らかに、早く処置をしないとマズイ状態」であったり、長期的な経過観察をして状態が悪くなっているのかが確認出来なければ「ほっといても別に問題なかったのに、治療したが為にかえって痛みが出たり、抜くはめになったり」した時に、患者さんに対して申し訳が立ちませんので。
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問題点があってもすぐに削ったり抜いたりせず、リスクを確認して経過観察+進行抑制に留め、進行が確認されたら削る、あるいはその他の処置をするという方法にも欠点はあります。
患者さんが、生活習慣やセルフケアの改善を行わず、かつ定期的なチェックにも来院されず、気がつかない(痛み等の自覚症状がない)まま虫歯や根尖病巣が拡大し、進行するというリスクです。
問題点に対し、見つけたらすぐ処置をするか、経過観察+進行抑制+定期的なチェックに留めるのか。
そのあたりは、先生の方針によっても異なりますし、患者さんの性格や価値観によってビミョーなさじ加減が必要でしょう。
大事な事は
「精密な検査が『先生が治療をするための口実探し』になっていないか?」
「治療という『生体への介入』が、真に患者さんの利益になるか?治療のメリットはデメリット(リスク)を上回るか?」
を、よく考える必要があるということです。