治ってないですよ(院長 長崎)(平間 予防歯科)
治ってないですよ(院長 長崎)(平間 予防歯科)
歯の治療(詰め物、被せもの)をする際に、患者さんに何度も言うことがある。
「治ってないですよ。人体の欠けた部分を、人工物で塞いだだけです」
「詰め物が長持ちするかどうかは、貴方自身のセルフケアと歯科医院での定期健診+お掃除等のサポートの積み重ねにかかっています」
虫歯の治療やセルフケア、生活習慣の指導は何回もかかるので、来院の度に表現を替えて何度も繰り返す。
ざっくりいうと
「ヘボ歯医者なりに頑張るけど、自分の技術の限界、そして医療そのものの限界をわきまえてね」
「治療してもらったから、もう虫歯にならないとか思い違いしないでね」
という感じ
歯科医師になって一時期は、なんでも「治せる」スーパー歯科医師を目指して頑張った時期もあった。
しかし、どうやら自分の頭の出来や手先の器用さは、スーパー歯科医師には程遠いことがわかってきた。
世の中には、もしかしたら何でも「治せる」スーパー歯科医師がいるのかもしれないが、どうも自分はその器ではない、と。
そ~ゆう訳で、前ツイートのような「自分の実力と医療そのもの限界をわきまえた上で、患者さんにもそのように説明」するようになった。
その上で「メロメロになった歯を元通りに治療するよりも、そもそもメロメロにならないようにする」ことならなんとかできるかも…と思い、予防歯科の方に舵を切った。
結果として、ウチに通う患者さんは
「私の腕前と、医療そのものの限界を理解した上で、セルフケアを頑張り、できない部分は歯のお掃除等のサポートを受ける」
「その上で起こってしまったことは、受け入れた上で対応策を相談する」
という、こちらからするとありがたい方が多い。
私の実力を超えるような、高いレベルの治療が必要な、あるいはそれを要求してくる患者さんは
「スマン、私には荷が重いッス」
と正直に言った上で、然るべき医療機関を紹介している。
頼りない歯科医師と思われてるかな…という負い目はあるが、概ねストレスの少ない診療ができている。