歯科医師、歯科衛生士の『健康絶対主義』を押し付けてはいけない(院長 長崎)
歯科医師、歯科衛生士の『健康絶対主義』を押し付けてはいけない(院長 長崎)
JR南武線平間駅徒歩30秒、ワコ歯科・矯正歯科クリニック院長の長崎です。
日本ヘルスケア歯科学会の会報(145号)で、凄く良いことが書いていました。
ざっくりまとめると
「患者さんは、個々の健康観や人生観がある。たとえ良かれと思っても、歯科医師、歯科衛生士の『健康絶対主義』を押し付けてはいけない」
という主張です
歯科医院に来院される患者さんは、何らかの困りごとや悩みがあり、それを何とかして欲しくて治療あるいは定期検診で来院されます。
ただ、それらをなんとかしたいというやる気は患者さんにより大きく異なりますし、やる気のなさを説教してもやる気が出るというもんではないです。
不健康な生活習慣があればそれを変えてもらうのが理想です。
例えば、毎日2回歯を磨くのが理想ですが、1回磨くのが精一杯という患者さんがいたとします。
「なんで2回磨かないんですか!健康になりたくないんですか!」
と説教したところで、できないものはできないんです。
患者さんは仕事や介護や遊びやスマホいじりで忙しいのです。
歯科医師、歯科衛生士からすれば、1日2回歯を磨くことは最低限のやるべきことです。
仕事も介護も遊びもスマホいじりも、1日2回の歯磨きをまずやってから、というのが「健康絶対主義」の価値観からは当然となります。
「健康絶対主義」の価値観からは、それに反する患者さんの行動はついつい否定したくなります。
しかし、患者さんにも大事にしている価値観や優先順位があり、それを頭ごなしに否定されると(その場では言い返せなくても)ムッとします
そうなると、良かれと思った指導を行っても、次からは嘘をつくようになるか、来なくなるかのどっちかです。
私は、患者さんが歯科医師・歯科衛生士から見て望ましくない生活習慣であったとしても、まずは
「なるほど。そうなんですね」
と、患者さんの価値観をまず肯定するようにしています。
歯科医師としては少数派の対応かもしれませんが、今回のヘルスケア歯科学会会報で、同じような意見を持った歯科衛生士さんがいることが嬉しかったです。
健康は大事ですが、患者さんの価値観を尊重することも大事だ、と思います。
その上で「1日に1回しか歯を磨けないなら、定期健診に来てくれれば歯のお掃除等のサポートを受けられますが、どうでしょう?」という感じで、患者さんが受け入れやすい提案をしていくようにしています。