25年前の銀歯の話
JR南武線平間駅徒歩1分。ワコ歯科・矯正歯科クリニック院長の長崎です。
25年前の銀歯の話です。
本日、銀歯が取れた患者さんが来院されました。
取れた部分を確認すると、虫歯は無いように見えます。銀歯の方も、多少のすり減りはありますが、元の場所に戻してみたところ、隙間なく収まっていることが確認できました。
ワコ歯科・矯正歯科クリニックでは、詰め物、かぶせものが外れた場合、取れた部分に虫歯がないかを確認し、元の場所に戻して隙間がないようであれば、1度はセメントで付け直しを行い、そのままはずれなければそれでよし。もし、短期間で再度外れるようであれば、作り直しを行うようにしています。
取れた理由が、歯を詰め物をくっつけるセメントの劣化であるなら、セメントで付け直しをすれば結構そのまま機能してくれることが多いからです。
詰め物の下が虫歯になっていれば、当然虫歯を削ってやりなおしになりますが…
また、くっつける時は噛み合わせの高さだけでなく、側方運動(歯をギリギリ横に動かした時の当たり方)もチェックします。
側方運動で歯が揺さぶられることで取れたのであれば、咬合調整(噛み合わせの調整)を行い、歯が大きく揺さぶられないようにすることで、取れにくくできるからです。
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今回取れた銀歯は、患者さんに確認したところ「25年位前に治療したような、気がする」とのことでした。
統計にもよりますが、保険の銀歯の耐久年数はあまり長くないと言われています。
私が院内説明用に使っている資料では、銀歯の平均耐久年数は5.4年となっています。
詰め物、かぶせものを新しく作る際、保険の銀歯か、自費のセラミック系かを患者さんにそれぞれの素材の特性、価格を説明した上で選んでもらっているのですが、必ず最後に付け加えることがあります。
「材料の物性だけで言えば、セラミック系統のものが保険の銀歯よりも断然優れています。
ただし、詰め物、かぶせものの持ちは材料だけで決まるものではありません。
フッ化物(フッ素)うがい等で、生活の中にどれだけフッ化物を取り入れているか、フロス、歯間ブラシ、音波歯ブラシ等のハブラシ以外によるプラークコントロールがどれだけ適切に行われているか、定期的に歯科医院でお口の中を検査し、虫歯の成りかけ等が増えたり、進行していないかを確認し、歯科医院でのお掃除、歯科医院でしか使えない濃い濃度のフッ素塗布を行っているか。
これらのことの積み重ねによって、再度虫歯になるかどうかが決まるわけです。
詰め物、かぶせものの材料は良いに越したことはありませんが、セルフケア、プロフェッショナルケアの積み重ねをしたうえで、最後に差が出る部分、と考えてください。」
と。
見栄えだけで選ぶと、銀歯よりも白いセラミック系統のものが断然優れていますが、耐久性という面から考える時は、セルフケア、プロフェッショナルケアの積み重ねは説明すべきだ、と思います。
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前置きが長くなりましたが、耐久性が低いと一般的に言われている保険の銀歯が25年持ち、中が虫歯にもなっていなかったということは
「モビルスーツの性能の違いが、戦力の決定的な差ではない(シャア少佐)=詰め物、かぶせものの材料の差が、耐久性の決定的な差ではない」
という事を意味しているのではないでしょうか。