初期虫歯の進行抑制を行ったが、14か月経過後、進行して穴があいてしまった例(2015-0926)
JR南武線平間駅徒歩1分。ワコ歯科・矯正歯科クリニック院長の長崎です。
初期虫歯の進行抑制を行ったが、14か月経過後、進行して穴があいてしまった例(2015-0926)
患者さんは、30代男性です。
初診の段階で、初期虫歯があることは確認していたのですが、フッ化物洗口、デンタルフロスによるプラークコントロール、フッ化物塗布等で進行抑制が可能と判断し、進行抑制と経過観察のみ行っていたのですが、残念ながら虫歯が進行して穴があいてしまいました。
ワコ歯科・矯正歯科クリニックでは初期虫歯、あまり進行していない虫歯はなるべく削らず、進行抑制と経過観察のみに留めているのですが、残念ながらすべての虫歯を進行抑制できるわけではありません。
統計を取ったことはないですが、50本に1本くらいは、このように年単位で進行して大きくなり、削ることもあります。
当院の「あまり削りたくない」という方針に賛同し、進行抑制を期待し、定期的に通って戴いている患者さんには大変申し訳ないのですが、このようなこともあります。
患者さんには、その旨を説明し、穴の開いた歯に関しては、削って詰め物をすることにしました。
この患者さんには、他にも進行抑制と経過観察を行っている虫歯があるのですが、今後の方針として
1.先回りして、穴が開かないうちに(初期のうちに)虫歯は削って詰めてしまう。
2.フッ化物洗口の濃度と頻度を増やし、デンタルフロスもフロアフロス(フッ化物が練りこまれており、歯と歯の間に通すことでフッ化物を効果的に歯間部にしみこませることができる)に変えて、より進行抑制に注意を払う。
この2つの方針を選択できる旨を説明したところ、2の「より進行抑制に注意を払」い、今後もなるべく削らないようにしたいとのことでした。
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初期虫歯、あるいはごく小さい虫歯はフッ化物応用とプラークコントロールにより進行抑制が可能と考えて、そのように患者さんにも説明していますが、このように進行してしまう事例を見ると、悩むことがあります。
では、小さな虫歯を「大きくなる前に削ってしまえ!」となると、人為的に人工物と歯の隙間を増やしてしまうのではないか?というジレンマに陥るのですが…
理想としては、最初から「歯が生えた時からフッ化物応用、デンタルフロスによるプラークコントロールを開始し、初期虫歯すら作らないようにする」のが一番なのでしょうが…
まだまだ私自身予防歯科についての勉強が必要ですし、予防歯科の考え方をより多くの人に理解して頂けるように情報発信が必要なことを痛感しました。