見分けて治そう!歯科金属・材料アレルギー 歯科金属アレルギー1000症例の科学的根拠に基づいた分析からわかった診断と処置 読了
JR南武線平間駅徒歩1分。ワコ歯科・矯正歯科クリニック院長の長崎です。
見分けて治そう!歯科金属・材料アレルギー 歯科金属アレルギー1000症例の科学的根拠に基づいた分析からわかった診断と処置 読了
非常に面白く読めました。
実際には歯科臨床の現場で「これは、金属アレルギーだ!」という患者さんを診ることはものすごーく少ないです。
これは
・歯科用金属がアレルギーの原因となることについての認知度(世間的、お医者さん的の両方で)が低い。
こともありますし、
・歯科用金属が原因のアレルギー自体、かなり頻度が低い。(日本人の9割には銀歯が入っていますが、アレルギーの人はその中でも少なく、歯科用金属が原因のアレルギーとなると、更に少なくなる、ということです。)
☆
本書でも書かれているように
・アレルギーの発症原因は多種多様であり「なんでもかんでも歯科用金属が原因!」という見方は短絡的にすぎる。
のです。
ただ、頻度が低くても、アレルギーに苦しむ人がいるのは事実ですし、歯科用金属を除去することで症状が収まった人がいるのも事実です。
歯科医師として
・どのような症状であれば、歯科用金属が原因のアレルギーと疑われるか?
・歯科用金属が原因とわかった場合、どのような手順で治療を行うか?
※代わりの歯の詰め物や、歯の詰め物を歯にくっつける接着剤でもアレルギーが出る場合があるため。単純にセラミックにすればいい、というもんではない。
・どのような材料であっても「アレルギーの原因とならない」材料は無い、と考えるべき。
ということを念頭に置き、自分でよくわからない場合は、すみやかに専門機関に紹介するようにしなければ、と改めて思いました。
☆
本書で
「民間医療を試したが悪化し」「横行するアトピービジネス」という記述が出てきます。
アトピーやアレルギーのように、原因がはっきりしなかったり、原因があまりに様々で治療がすごく難しい病気は、トンデモ医療のターゲットにとてもなりやすいのです。
何がトンデモで、何がまっとうな医療かを見分けるのは難しいですが、
・ステロイドや普通の医療を親の敵のように罵る。
・内海聡という人の名前。
この2つのどちらかが出たら、まずトンデモと判断して差し支えありません。