う蝕検知液で赤く染まった部分や、わずかでも着色している部分は全て削るべきなのか? 川崎・平間のワコ歯科・矯正歯科 予防歯科通信 146号2016/05/20
う蝕検知液で赤く染まった部分や、わずかでも着色している部分は全て削るべきなのか? 川崎・平間のワコ歯科・矯正歯科 予防歯科通信 146号2016/05/20
一部の歯科医師がネット上で
「う蝕検知液で赤く染まる部分は、全て削るべきである」
「虫歯を削る際、わずかでも茶色くなっている部分を削らないのは、再びそこから虫歯になる事を目論む悪徳歯科医師である!」
「歯科医師はボンクラばかりだ!俺以外は!」
という、不可解な主張をされていました。
虫歯を削る際、どこまで削るべきかという事柄は、実は明確な基準はありません。
歯科医師の間でも議論があり、また、歯そのものや、患者さんのおかれた状況によっても異なりますので「どこまで削るべし」という事は一言で言いづらいのです。
上記の事を踏まえた上でも「一部の歯科医師の主張」は、私が認識している「虫歯はどこまで削るべきか」という、現在の歯科における常識からかけ離れた主張でした。
所謂「トンデモ」な主張をされている方と、あまり関わりたくないのですが(話が通じない方が多いので…)、放置するのもいかがなものかと思い、ワコ歯科・矯正歯科クリニックの「虫歯をどこまで削るべきか」の基準を述べます。
虫歯を削る目安となる、う蝕検知液。
赤く染まっているから、絶対削らなければならない…というのは明らかな間違いです。
虫歯で黒く、柔らかくなった部分を削っていくと、だんだん固く、色も薄くなってきます。
ただ、元の歯の色になるまで削る必要はない、と思います。
多少の着色があったとしても、探針でひっかいて、十分に硬ければ
「着色はあるが、虫歯菌は染み込んでいない」
とみなし、削らない場合が殆どです。
参考:う蝕治療ガイドライン 日本歯科保存学会 編
ワコ歯科・矯正歯科クリニックでは、虫歯を削る際に
「う蝕検知液で赤く染まったり、茶色くなっていても、全部削ることはしない」
「十分に硬ければ、虫歯菌が染み込んでないものとみなして、残す」
「これ以上削ると神経まで穴が開く場合は、一旦フッ素入りセメントで仮蓋後、フッ化物による再石灰化や、二次象牙質の形成を待ってから削る」
ことで、極力歯を削らず、神経を残すようにしています。