院長の過剰な(予防歯科への)愛情または私は如何にして削るのを(なるべく)止めて予防歯科を愛するようになったか 川崎・平間のワコ歯科・矯正歯科 予防歯科通信 160号2016/5/26
院長の過剰な(予防歯科への)愛情または私は如何にして削るのを(なるべく)止めて予防歯科を愛するようになったか 川崎・平間のワコ歯科・矯正歯科 予防歯科通信 160号2016/5/26
予防歯科で開業したら、収入は勤務医時代の半分に!
昔はガンガン削ってガンガン詰めたりかぶせたりしていたのに、何故になるべく削らないという予防歯科にシフトしたかをお話しします。
削るのが悪い、削らないから良いという単純な話ではないですよ…念の為。
2014年4月、9月の4日間、予防歯科で有名な日吉歯科に研修に行ったことが、ワコ歯科で予防歯科をやろう!という最後の一押しになりました。
詰め物、かぶせもので虫歯の治療をしても、再度虫歯になってしまう…
何年か歯科医師をやっていると、自分の治療した詰め物が再度虫歯になるという事を経験し、アレコレと悩みます…
ワコ歯科・矯正歯科クリニックは、「なるべく削らない、なるべく抜かない」という予防歯科を行っていますが、2014年にワコ歯科を開業する前、勤務医だった頃は、それなりに削り、それなりに抜き、保険や自費の詰め物、かぶせもの、時にインプラントを行っていました。
歯科医師になって5年目で、勤務先の分院長も任されました。
詰め物、かぶせものの種類を決める時に、保険と自費の違いを説明し、患者さんに選んでもらう際、説明がそれなりに上手いのか、自費にして頂けることが多く、それなりに稼いでいました。(保険よりも、自費を選択して頂けた方が、利益率が高いのです。)
時には、今はやらなくなったインプラントもやっていました。(これも儲かります)
見栄えや耐久性の高い自費の詰め物、かぶせもの、またインプラント治療を行うことで、患者さんから感謝され、お金まで頂ける。歯科医師の仕事がますます好きになりました。
本や講習会等でさらに高度な治療技術を覚え、良い歯科医師になろう!…と日々勉強やら治療やらに励んでいたのですが、ふと気づいたことがありました。
虫歯で治療を受ける、ということは、そもそも患者さんが虫歯になってしまった、ということです。
(当たり前のことですが)
虫歯が、プラークコントロールの不備や、生活習慣から出来ることは、歯科医師であれば誰でも知っています。
「何故に虫歯になったか」を考えることなく、治療だけを行っても、原因が変わっていないのであれば、治療後にまた同じ理由で虫歯になってしまうのでは?という、ごくごく当たり前の事に気が付いたのです。
(5年も歯科医師をやっていて、それまで気が付かなかったというのがなんともアンポンタンですが…)
とはいえ、具体的にどーすればいいのかがわかりませんでした。
そんな時、勤務先の代表から
「長崎先生、これからは予防歯科が来るらしいよ。このビデオ見ておいて」
と、講演会のビデオを渡されたのです。
それが、予防で有名な日吉歯科の熊谷先生の講演会のビデオでした。
衝撃を受けました。
科学的な根拠に基づき、患者さんの口腔内を調べてリスクを評価し、プラークコントロールや生活習慣の指導を行い、虫歯のリスクが下がってからでないと治療を行わないという、極めてまっとうな事をお話ししているだけだったのですが、それまでの歯科医師人生で
「治療よりもまず予防」
という事を言う先生に会ったのは、初めてだったからです。
(もしかしたらいたのかもしれませんが、少なくとも現場に出ている先生のレベルでは、全くいませんでした)
で、イロイロあって予防歯科をやるために、ワコ歯科・矯正歯科クリニックを開業しました。
口腔内写真や唾液検査等、熊谷先生のやり方を形の上では真似ているつもりなのですが、まだまだ勉強が足りませんし、どのようにすれば患者さんに予防の大切さが伝わるかということで、日々悩んでいます。
収入は(恥ずかしいので、あまり言いたくないのですが…)、ガンガン削って詰めていた勤務医時代に比べて、半分以下に減りましたが、後悔はしていません。
自分の正しいと信じる事を精一杯やって、まずはワコ歯科のある平間周辺で予防歯科が広まるよう、頑張ります。