「痛い歯だけなんとかしてほしい」という患者さんへの「現状維持」という選択肢 川崎・平間のワコ歯科・矯正歯科 予防歯科通信 080号2016/03/11
「痛い歯だけなんとかしてほしい」という患者さんへの「現状維持」という選択肢 川崎・平間のワコ歯科・矯正歯科 予防歯科通信 080号2016/03/11
※治療しなくても別に良い、と言ってるわけじゃないですよ…。
大きく穴が開いた虫歯、歯周病でグラグラの歯は、治療(または抜歯)した方が良いに決まっているのですが
「痛い歯以外も治療した方がいいのはわかってるんだけど、すごく困ってるわけじゃない。痛いところを削ったり抜いたりはまだ我慢するけど、現状で痛くない歯まで削ったり抜いたりするのはちょっと…」
という患者さんに対しての提案。
※極端な例:痛いのは黄色印の歯。緑印の歯も虫歯であることはわかってるけど、今のところ痛くないし、治療するのは気が進まない…というような場合。
歯科医師:痛い部分だけでなく、治療が必要な部分はすべて削って、詰め物をする必要があります。
患者さん:わかりました。よろしくお願いします。
患者さんの本音:先生の言う事はわかるけど、痛くない歯は別に今は困ってないんだから、削ったりするのは気が乗らないなあ。よし!痛くなくなったら来なければいいんだ!
痛みが無くなったら、患者さんは来なくなってしまいました…
歯科医師:日本人は歯に対する意識が低い!治療を半端な所で中断すると、後からもっと痛くなることがあるのに!
まだ痛くない虫歯も、進行すれば痛くなるのに!
激おこぷんぷん丸!
治療途中で(痛みが無くなったため)来院中断というのは、歯科医院ではよくあることですが、患者さんに対して
「全部治療する必要があります」
とだけ告げて、他の選択肢を与えなかった歯科医師にも(ある程度の)責任はあるのではないでしょうか?
ワコ歯科・矯正歯科クリニックでは
「痛みは無いが、虫歯やその他で(歯科医師の目から見ると)治療が必要な歯」
がある場合は、患者さんに
「全部治したいですか?それとも、痛くない歯に関しては今は手を付けずにセルフケア、定期的な検診+プロフェッショナルケアによって進行抑制を行い、現状維持を目指して、それでも痛くなったり進行してしまった場合にまた考えますか?」
と質問し、まず患者さんがどうしたいかを聞くようにしています。
全部治したいという希望であれば、そのように治療を進めます。
進行抑制を行い、現状維持を目指したいという希望であれば、可能な限りのセルフケアをご自身で行ってもらい、加えて定期的な検診+プロフェッショナルケアを受けて頂くことを条件に、そのようにしています。
(こーゆう選択肢を提示するようになってからは、患者さんは「追い詰められた」感が少なくなるのか、多くは治療に同意してくれますし、途中で来なくなる患者さんも以前より少なくなりました。また、進行抑制のみを選んだ方も、大体は定期的に検診を受けてくれます。異論はあるでしょうが「来なくなる」よりマシかと…)
痛くなければ治療しなくてもいい、というわけではありません。
患者さんには自己決定権があり、(歯科医師から見れば不合理に見える選択であっても)自分の治療法(あるいは、治療せず進行抑制のみ行うという方法)を選ぶ権利があり、その選択は(よっぽどでなければ)尊重されるべきである、とワコ歯科・矯正歯科クリニックは考えているのです。