母子手帳のワナ 知られざる母子保健の真実 高野弘之先生著 読了 失笑の予防歯科
母子手帳のワナ 知られざる母子保健の真実 高野弘之先生著 読了 失笑の予防歯科1
フッ化物への記述にボーゼン
この程度の理解で、本を書いていいんだ…
本の頭に
「出版社は、内容について一切の保障をしません」
と書いていて巻末の参考文献に内海聡さん、その他とんでもで名高い方々が名を連ねているのを見て
「ああ、なるほど」
と思いましたが、お金を出して買ったので最後まで読んだ
他人の悪口は許しますが、歯科への悪口やデマは許さぬ
☆
要約すると
フッ化物は毒!
砂糖を一切取らなければ虫歯にならぬ!
WHOもフッ化物を禁止している!(デマです)
というもの
ワクチンとか母子手帳とかは、内海聡さんや真弓定夫さんの言う「アメリカの陰謀!」という主張を鵜呑みにしたものなので、スルーします。
今回は、歯科に関する事だけ反論します
フッ化物は毒!という主張ですが
「はい、毒ですよ。醤油を1リットル飲むと死ぬように、量や頻度が過剰であれば」
濃度や頻度によっては、班状歯や骨硬化症等のリスクになりますが、虫歯予防においては
「適切な用法、濃度や頻度」
が、ほぼ判明しています
醤油を1リットル一気飲みすると死にますが(試さないように)、それをもって醤油を禁止!とはならないように
☆
虫歯は多因子性の疾患なので、予防法もアレコレあります
フッ化物さえ塗っていれば虫歯にならない!わけではないので
「よくわかんないけど、3歳児健診ならタダだから塗っとけ」
という考え方は私もいかがなもんかと思いますが、明らかなデマを間に受けてこんな本を書かれるのは迷惑です
「営業妨害」
「適切な予防の機会を奪い、虫歯リスクを上げる」
という面で
高野先生が
「フッ化物を使わないと虫歯が増えるから、歯医者さんも儲かるよね!」
と、ボランティア精神でフッ化物のデマを広げているのなら別ですが…
多数の疫学的な研究によりフッ化物が塗布、歯磨き粉、フロリデーション、洗口様々な形で虫歯の減少に寄与することは明白です
だから、世界中で使われているわけで
>WHOが6歳児未満のフッ化物洗口を禁止した!WHOもフッ化物の毒性を認めた!
WHOは、他の様々な声明でフッ化物の適切な使用により虫歯リスクが減るから、ちゃんと使って虫歯予防しようね、と表明していることはスルーですか?
6歳児未満のフッ化物洗口禁止、というのは事実ですが、虫歯予防のために(日本以外では)フロリデーション、歯磨き粉、洗口、錠剤、塩へのフッ化物添加が広く進んでおり、虫歯もかなり減って
「ちょっと多すぎるかしら?」
という見直しが行われているのです
そのような背景があって、6歳未満の洗口禁止という表明が出てきたのであって、日本のように フロリデーション無し 学校でのフッ化物洗口進まず(主な理由は「教員の猛反対」) 歯磨き粉のフッ化物濃度超低い(欧米の半分〜1/5) というフッ化物の適正利用が進んでいない状況で、鬼の首を取ったように言われてもね…
トンデモさんはそーゆう「文脈や背景を無視した言葉の切り取り」が大好きですよね…
砂糖に関しては、確かに虫歯のリスクの一つですが、画像を見れば摂取量と虫歯の本数が必ずしも比例していない事が分かると思います
多分、フッ化物の訂正な利用や、フロス等リスク部位のプラークコントロール指導 や、歯科医院での定期検診やフッ化物塗布等の積み重ねによるのでしょう
本文中の3歳以下は砂糖ゼロ! というのは、まあ無意味とは言いません
生えたての歯は虫歯になりやすいですから
ただ、砂糖がアメリカの陰謀とか言われるともうね…
フロリデーションは日本では行われていませんが、例外があります
在日米軍基地です
フッ素がアメリカの陰謀という主張と矛盾しますよね?
この事について高野先生はどう思われるんでしょうか?
高野弘之先生、悪い人じゃないと思うんです
私自身、歯を削って詰めての繰り返しに疑問を抱いて、予防歯科をやるようになりましたから
医療の現場で、思うところがあったとは想像できます
ただ、組む相手が内海聡さんでは…