なぜいとも簡単に歯を削るのか(院長 長崎)
JR南武線平間駅徒歩30秒、ワコ歯科・矯正歯科クリニック院長の長崎です。
なぜいとも簡単に歯を削るのか。
ワコ歯科・矯正歯科クリニックでは、10人初診の患者さんが来たら、削るのは2人くらいです。
なぜか?
初期虫歯や小さい虫歯は極力フッ化物やフロス等のプラークコントロールにより進行抑制を試みているからです。
まあ、それでもたまーに大きく穴が空いていたり、進行抑制の甲斐なく虫歯が進んでしまって削ることはありますが、削って詰める時に必ず患者さんに言うことがあります。
「虫歯を削って詰めても、治ってないですからね。手や足がもげて義手、義足にしたのを治ったとは言いませんよね。」
「人体の一部が無くなったのを、人工物で補っただけです。天然の歯と比べると、保険だろうが自費だろうが絶対に弱くなっているのです。」
「そもそも、セルフケアや生活習慣諸々の積み重ねによって虫歯になったのですから、それらが同じであれば、同じ理由でまた必ず虫歯になります。」
「今回詰めた(かぶせた)物がどれくらい持つか、再度虫歯になるかどうかは、患者さん自身のセルフケア、生活習慣の積み重ねで決まります。」
といった事柄です。
例えば、手足であれば、何かしら病気なり怪我なりしても「じゃあ切って義手(義足)にすればいいじゃん」と軽々しく言わないのではないでしょうか。
アレコレ治療を試みて、なんとか義手(義足)ではなく、自身の手足を残そうと試みるでしょう。
これが歯の場合だと、詰め物(かぶせもの)にすれば、機能や見た目が割合元通りに近く回復するので、簡単に削ることがあまりに多いように思います。
一度削ってしまい人工物に置き換えると、保険だろうが自費だろうがそこは弱点となり、天然の歯よりも凸凹がある分再度虫歯になりやすくなりますし、継ぎ目がある分強度的にも弱くなります。
削ることが悪いと言っているわけではありません。
来院時に、削らなければどーにもならないレベルまで進行していたらそりゃあ私だって削ります。
ただ、初期虫歯や小さな虫歯であったら、削る前に
「何故に虫歯になってしまったのか」
「今後どうすれば虫歯のリスクを減らせるのか」
を調べた上で患者さんに説明し、可能な範囲でセルフケアや生活習慣を変えてもらい、進行抑制を試みています。
それだけやった上でなおかつ進行したら削るのもやむ無しですが「進行抑制が可能なレベル」まで「早期発見早期治療」を大義名分に削り「何故に虫歯になったのか」「どうすれば今後虫歯のリスクを減らせるのか」の指導を行わなければ、同じ理由でまた虫歯になるのではないでしょうか?