MI(ミニマルインターベンション)は、小さく削って小さく詰める、という意味…ではありません(院長 長崎)
JR南武線平間駅徒歩30秒、ワコ歯科・矯正歯科クリニック院長の長崎です。
MI(ミニマルインターベンション)は、小さく削って小さく詰める、という意味…ではありません。
あちこちのサイトで、MIの事を「小さく削って小さく詰める」という「技術や道具」の事だと誤解?している記述が多いです。
MI(ミニマルインターベンション)とは、2002年にFDI(国際歯科連盟)が提唱した5項目です。
簡単に言えば
✕小さく削って小さく詰めるという技術、道具。
◯「虫歯にしないためにはどうすればいいのか」という概念。
です。
具体的には
1.口腔内細菌叢の改善
う蝕は感染症であるから、まず最も重要なことは感染そのもののコントロール。
プラークの除去と糖分の摂取の制限。
2.患者教育
患者にはう蝕の成り立ちを説明し、同時に食事指導と口腔清掃指導を通して自らもう蝕リスクの低減を図る必要が有ることを説明する。
3.エナメル質および象牙質のう蝕で、まだ齲窩(虫歯の穴)を形成していないう蝕の再石灰化
エナメル質の白斑や齲窩を形成していない象牙質は、その進行が停止したり、治癒したりする事が証明されている。
病原が拡大したかどうかを経過観察によって確認できるように、病変の範囲は客観的に記録しておく必要がある。
4.齲窩を形成したう蝕への最小限の侵襲。
歯質を削るという外科的な介入は、例えばう蝕の進行を停止させることができない齲窩がある時や、機能的或いは審美的な要求がある時に限るべきである。
※MIの「小さく削って小さく詰める」というのは、この項目のみを取り出しているわけです。
5.欠陥のある修復物の補修
臨床的判断に従い、それぞれ状況に応じて、修復物全体を再修復(全部外す)代わりに補修をする(虫歯の部分だけ削って詰める)のも1つの選択肢である。
※詰め物と歯の境目が虫歯になっている場合など、全部外して取り替えるのではなく、虫歯の部分だけ削ってプラスチックで詰める、等です。
デンタルダイヤモンド、2017年6月号より抜粋。
ワコ歯科・矯正歯科クリニックではこのMIの概念に従い「虫歯にならないようにする」「虫歯になったとしても、再石灰化が可能な状況であれば、可能な範囲で再石灰化を試みてなるべくなら削らないようにする」ようにしています。
ただ、このMIの概念を糞真面目にやると、売上は激減します…
一般的な歯科医院の売上は「削って、詰める」割合が多くを占めているので、当然ですよね…