インプラントがダメになる原因は歯科医師か?材料か?患者さん自身か?(院長 長崎)
JR南武線平間駅徒歩30秒、ワコ歯科・矯正歯科クリニック院長の長崎です。
>インプラントがダメになる理由は歯科医師か?材料か?患者さん自身か?(院長 長崎)
開業する時に「もうインプラントはやるまい!」と決めて、それ以降インプラントが必要と思われる方や、インプラントを希望する方は大学病院等の専門機関に紹介するようにしています。
定期的なメンテナンスや相談、(インプラント以外の)治療で、他院でインプラント治療を受けた患者さんも受け入れています。
インプラント治療を受けた患者さんが来院する度に思うのは「インプラントのような高度かつ高価な治療を受けたのであれば、インプラントオペをやった先生がいる歯科医院にメンテナンスに通うのが何かあった時の対応等で安心できる筈なのに、何故にワコ歯科に来るのだろうか?」ということです。
当の患者さんに聞いてみた所
「定期的なメンテナンスは、他の歯医者さんに行くように言われた」
「インプラントを勧める時はすっごい熱心で親切だった歯科医師が、インプラントを入れたら冷たくなった(?)」
「インプラントオペの前後で対応に不満があり、続けて通う気がなくなった」
等、とにかく「クリニックを変えるだけの理由」があったようです。
定期的なメンテナンスでも利益になるし、通っていればまた何らかの理由によって歯がもげた時、また自分の所でインプラントをやってもらえるので、何故にメンテナンスに冷たい(?)クリニックがあるのかよくわからないのですが…
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インプラント患者さんのメンテナンスと言っても、取り立てて特別な事をするわけではありません。
まずお口の中の状況を口腔内写真(12枚)、デンタルレントゲン(10枚)で確認し、インプラントになった理由(=抜歯に至った理由)を聞き、プラークの染め出しを行い、現状の虫歯や歯周病、インプラント周囲炎のリスクを調べ、患者さんにもそれを説明した上で、リスクを低くする為のフロス、歯間ブラシ、フッ化物等によるセルフケア、定期健診によるチェックや繰り返しの指導、プロフェッショナルケアの必要性をお話し、患者さんの受け入れられる範囲でメンテナスを受けてもらうだけです。
最も重視しているのは「インプラントになった理由(抜歯に至った理由)」です。
インプラントは優れた治療法ですが、抜歯に至った原因(虫歯や歯周病のリスク)が改善されていなければ、インプラント自体は虫歯にはならないもののインプラント周囲炎(インプラントに起こる歯周病と考えて下さい)にはなりますし、残った歯も同じ理由で虫歯、歯周病になりまた抜歯→インプラントになってしまうからです。
インプラントが実用化されて40年余り。材料や形態、表面性状、設計等は細かく改善が続いていますが、技術的、材料的にはかなり完成されています。
インプラントがダメになる理由の大半は、患者さん自身のセルフケア、生活習慣(定期的なメンテナスを受けることを含む)にある、と思っています。
ただ、インプラントを勧める歯科医師がどこまで患者さんに対して「セルフケアや生活習慣が同じなら、インプラントを入れても同じ理由ですぐダメになったり、他の歯も抜かれてインプラントにされちゃいますよ」という事を正直に説明し、その患者さんのリスクに合わせたセルフケアや生活習慣の指導を行っているのか?ということは微妙です。
週刊誌やネットの記事で「インプラント叩き」をよく見ますが、歯科医師の技術やモラルを糾弾するものばかりで、患者さん自身の自己責任…と言いますか、セルフケアや生活習慣がインプラント手術を受ける前に改善されたか、歯科医師、歯科衛生士の指導を受けたか?という事まで書いているものはすご~く少ないです。
まあ「患者さんの自己責任」よりも「ヤブ歯科医師!悪徳歯科医師許すまじ!」の方が人目を引きますし、読んで貰えるので(多少は)仕方ないのでしょうが。
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よく「インプラントに興味はあるけど、どの歯科医院を選べばいいかわからない」という声を聞きます。
技術、使っているインプラントのメーカーや種類、金額諸々あるとは思いますが、私が考える「ここならインプラントをやって安心」という歯科医院の基準は
1.インプラントオペの前に「何故に歯を失った(或いは失いそうになっている)か」をしっかり調べ、セルフケアや生活習慣の指導を行っている。
2.インプラント治療が完了した後も、定期的なメンテナンスと口腔内のチェック、指導を継続している。
この2つを満たしているかどうか、だと思います。
インプラントの技術、材料、金額よりも、上記の2点の方がインプラントの成功、長持ちに大きく関与してきます。
いい車を買っても、オイルも変えず車検にも出さなければ、あまり長持ちしませんよね?