多くの人が歯医者に行きたがらない理由(院長 長崎)
JR南武線平間駅徒歩30秒、ワコ歯科・矯正歯科クリニック院長の長崎です。
患者さんに聞くと、痛くも痒くもない、困ってもない歯を『治療の必要があります』と『見つけられて』『削られる』から行きたくない、という声が多いです。歯科医師の側からは言い分もあるでしょうが、患者さんから「困ってもないのに削られる」と思われて歯科医院に行きたがらないわけです。
んで、ある程度の自覚症状が出てきてからもなかなか来院せず、いよいよどーにも我慢出来ないレベルになってから渋々来院し「なんでこんなになるまで放っておいた!」と説教され、痛みがなくなったらまた行かなくなる。
コレに対して、明確な解決法があるわけではないですが、私はまず「お口の中の状態を、写真、レントゲン、唾液検査諸々により記録し、説明する」事から始めています。自分の歯の本数すらしらない患者さんが大半ですので…
で、例えば虫歯であれば
1痛みがあり、どう考えても治療するしかないもの。
2痛くはないが、治療の必要があるもの。
3痛くはないが、削るか、削らずに進行抑制でいけるか微妙なもの。
4痛くも痒くもなく、進行抑制だけで行ける可能性が高いもの。
に大まかに分け「どのようにしていきたいですか?」と患者さんに聞きます。
そうすると「痛い部分は削って治療してほしいけど、痛くない部分はなるべくなら削らずになんとかならんもんですかね…」という感じの答えが返ってきます。
歯科医師の立場からは「痛くなくても、治療の必要があるから説明しておる!」と言いたくもなるのですが、ぐっとこらえて「では、まだ痛くない虫歯の部分は、フッ化物で毎日うがいをしたり、削らずにフッ化物入りセメントを詰めたり、フッ素を塗ったりして、可能な限り進行抑制を試み、並行して定期的に口腔内写真やレントゲン写真で記録を取り、進行していなければそれでよし、進行してしまったら観念して削る、というのはどうでしょうか?」と提案してみます。
この提案はあくまでも一例ですが、歯科医師が医学的な正論を振りかざして「痛くなくてもこれこれの理由で削るしか無いのです!削らないのは意識が低い!」と「正しい治療計画」を押し付けると、まあ大体痛くなくなると来なくなります…
この「医学的には削った方が良いが、患者さんが渋る場合に進行抑制を可能な限り試み、うまく止まればそれでよし。進行した場合は観念して削る」という手段もあるよ、と伝えれば、多少は「それなら歯医者に行ってみようかな」という人が増えるのでは?と思って、そのようにしております。
ただこの方法「治療の必要性があるなら、ソレを患者さんの同意が得られるまで誠心誠意説明することが正義!」と、患者さんにとっては受け入れやすくとも、歯科医師にとっては(真面目であるほど)受け入れ難いのが欠点です…
長くなりましたが、私は「医学的に治療の必要性がある虫歯でも、治療するか進行抑制のみに留めるかは患者さんの自己決定権である」と考えています。歯科医師、患者さん双方のご意見をお待ちしております。m(_ _)m