フッ化物によるセルフケア指導は、歯科医師の間でタブー?(院長 長崎)
JR南武線平間駅徒歩30秒、ワコ歯科・矯正歯科クリニック院長の長崎です。
フッ素うがい、高濃度フッ化物配合歯磨剤等の「フッ化物によるセルフケア指導」に言及することが、歯科医師の間である種のタブーになっている気がします。
様々な歯科医院の宣伝、サイト、書籍を読むのですが
「歯科医院で定期的に歯のお掃除を受けると虫歯予防に!」
「保険の銀歯よりも自費のセラミックが虫歯の再発予防に!」
という「来院してプロケア」「治療」という「歯科医師にとって儲けに繋がること」に関しては様々な歯科医師が繰り返し言及するのですが、家庭でのフッ化物洗口、高濃度フッ化物配合歯磨剤の適正な使用等の「虫歯予防の効果が非常に高く、かつ安い」事に関しては、言及している歯科医師はものすごーく少数派です。
また、フッ素は毒!という明らかに科学的な根拠に逆らう事を主張する反フッ素派は目立ちますが、フッ素への言及を避ける「だんまり派」も多いのです。
患者さんからも「長崎先生、フッ素うがいとか指導してもらえるのは嬉しいんだけど、そんなに虫歯予防の方法を教えてしまって、生活大丈夫なの?虫歯が減ると稼げないんじゃないの?」という、善意の忠告を受けることもあります。
フッ素さえ使えば虫歯にならないわけではなく、あくまでも「虫歯のリスクを減らす方法の1つ」でしかないので、歯科医師が個人の責任において「自分はフッ素を使わない。頼らない」というのは自由ですが、患者さんにフッ素の使い方すら指導しないというのは誠意に欠けると思うのです…
信念から「反フッ素派」になり、(科学的根拠に乏しいとはいえ)フッ素を使うな!と主張する歯科医師は、(個人的にはヘナチン野郎だと思いますが)ある意味筋が通っています。
しかし、反対もしない、賛成もしないという「フッ素に関してはだんまり派」は…男らしくないと言うか…潔くないと言うか…
フッ素による虫歯予防は、シートベルトのようなもんだと思っています。
シートベルトは事故自体は防げませんが、事故が起こった時に死ぬリスクを大幅に下げてくれます。
フッ素は甘え!というのは、シートベルトは甘え!と同じ「理想を抱いて溺死する」主張かと思うのです…