8年目の再治療
JR南武線平間駅徒歩1分。ワコ歯科・矯正歯科クリニック院長の長崎です。
8年目の再治療についてです。
先日、私が2007年(歯科医師になった年です)に詰めた銀歯が取れた患者さんが来院されました。
黄色丸は、今年(2015年)の1月に撮影した写真ですが、銀歯と歯の間にスキマができていることは確認していました。
ただ、銀歯と歯の間に多少のスキマや段差がある場合でも、痛みがなく、探針でそ~っと触って硬い感じがすれば、黒い、茶色であっても虫歯は活動性(バイキンが頑張って歯を溶かしている状態)ではなく停止性(バイキンが活動せず、歯を溶かしていない状態)と判断して、削らないことが多いです。
その時も、患者さんには「痛みが出たり、はずれたらやり直しだけど、痛みもなく、定期的に写真を撮って大きな変化がなければそのままにしておきましょう。ただし、進行を抑制するために歯間ブラシ、フロス、フッ化物洗口は続けてください」とお話しています。
その銀歯が、先日取れたわけです。
ラバーダム(歯の神経や削った面に唾液、バイキンが入らないようするゴムシート)をかけて確認すると、針で触ってヤワヤワになっている部分が多かったので、削って作りなおすことにしました。
8年前に虫歯を削ったとき、かなり深いところまで削ったので、神経の穴にズボっとドリルが突き抜けないように慎重に削っていきます。
最後のセメントは全部除去せず、少しだけ残して新しいグラスアイオノマーセメント(フッ素が滲み出るタイプのセメント。仮詰めにも使う)を詰めました。
古いセメントを全部除去しなかったのは、古いセメントの周囲には虫歯が及んでいなかったことと、8年前の治療の際に神経を保護する薬剤を置いたので、そっとしておきたかったからです。
2週間ほど待ち、痛みが出なければ再度削り、型取りをして詰め物を入れます。
8年で再治療になったのですが、保険の銀歯の場合平均5~6年で二次カリエス(詰め物の周囲が虫歯になること)という資料があるので、まあ持ってくれた方なのかなと思います。
ただ、8年前は治療、詰め物のセット時にラバーダムを使っていなかったこと、生活習慣(フロス、歯間ブラシ、フッ化物洗口等)の指導が悪かったのかなと反省しています。
患者さんの希望で、詰め物はセラミックになる予定です。また再治療はイヤだから、自費で精度がよく、かつ見栄えのいい(白い)ものがいい、ということで。
詰め物の保険と自費の差は、持ちを左右する決定的なものではなく、生活習慣の方がより大きく詰め物の持ちを左右すると考え、患者さんも伝えています。
「じゃあ、生活習慣もコレまで以上に気をつけるし、かつ自費のセラミックにすれば持ちはすごく良くなるってことよね!」
と仰っていました。まあ、セルフケア+自費の詰め物というのが理想ではあります。